Post

CPTS 合格体験記

HTB Certified Penetration Testing Specialist (CPTS) 初回合格・14/14 フラグ完全制覇。複数サブネットを持つ企業模擬ネットワークへのフルスコープペンテスト、AD 攻撃の進め方、試験で意識した戦略とレポート作成まで詳しく解説。OSCP・CJCA との難易度比較も。

CPTS 合格体験記

TL;DR

  • 結果: CPTS 初回合格(2026-05 受験 → 2026-05 合格)
  • 試験期間: 10 日間
  • スコア: 14 / 14 フラグ完全制覇(合格ライン: 12 / 14 = 85%)
  • キーポイント:
    • 認証情報取得 → 即スプレー を徹底することで横展開が加速する
    • BloodHound は foothold 直後に投入するのが正解
    • 同じ手法で行き詰まったら早めに別ベクターへ切り替える
    • 全フラグ取得後にレポート期間を確保できたことが品質に効いた

CPTS 合格証


試験結果サマリー

項目
開始日 2026-05-09
結果 PASSED

CPTS とは

HTB Certified Penetration Testing Specialist(CPTS) は、HackTheBox Academy が提供するエンタープライズ向けの実技認定試験です。

項目 内容
試験時間 10 日間
環境 複数サブネットを持つ企業模擬ネットワーク
スコープ Linux / Windows / Active Directory 混在
フラグ数 14 フラグ
合格ライン 12 / 14 以上(85%)
レポート提出 英語ペンテストレポート(試験期間内に提出)

OSCP が「24 時間の集中試験」であるのに対し、CPTS は 10 日間で複数ネットワークを段階的に侵害する実務に近い試験です。単一のフラグではなく、ネットワーク全体を横断する攻撃チェーンを組み立てる能力が問われます。


自己紹介・受験前の前提知識

  • 保有資格: OSCP、CJCA、RISS、AWS SAP / SCS
  • 業務経験: インフラ運用保守 8 年 + 脆弱性診断(2025-07〜)
  • 受験時点での経験: OSCP 合格後、Proving Grounds / HTB を合計 100 台以上。Active Directory 環境は OSCP の AD セット + 各種 AD 特化 HTB マシンで反復練習済み

なぜ CPTS を受けようと思ったか

OSCP 合格後の次のステップとして、より実務に近いマルチネットワーク・AD 環境のペンテストに挑戦したかったからです。OSCP の AD セットは「1ドメイン + 数台」の比較的シンプルな構成ですが、実際の企業内ネットワークはより複雑です。CPTS はその実務ギャップを埋める試験として位置づけました。


試験戦略 — 事前に決めていた行動ルール

技術的な準備と並行して、作業の優先順位付けと時間管理のルールを事前に設定しておきました。これが合否に直結したと感じています。

ルール 1: 認証情報取得 → 即スプレー(他作業は中断)

新しい認証情報を取得した瞬間、他の作業を中断してすべてのサービス(SMB / SSH / WinRM / RDP 等)に対してスプレーを実施。「後でまとめて」という発想は横展開の遅延に直結するため禁止にしました。

ルール 2: foothold 取得から 30 分以内に BloodHound 収集

最初のドメインユーザー認証情報を入手したら、30 分以内に BloodHound を収集し、ACL 経路・委任・Kerberoast ターゲットを確認。「存在しない経路を延々探索する」無駄をこれで排除できます。

ルール 3: 同じ手法で 3 回失敗したら強制的に別ベクターへ

手法問わず 3 回連続で失敗したら、即座に別の攻撃ルートへ切り替え。「もう少しパラメータを変えれば…」という思考を禁止することで、時間を無駄に溶かすのを防ぎました。

ルール 4: 取得済みホストへの深掘りは最大 2 時間

フラグを取得したホストは、後続の横展開材料を取ることだけを目的に最大 2 時間まで。それ以上は未到達ホストへ時間を振り向けます。


タイムライン

日程 進捗
Day 1 試験開始、偵察・列挙。外部公開サービスへの足掛かり確立
Day 2〜3 内部ネットワークへの侵入。複数ネットワークを段階的に制圧
Day 4〜5 ピボット。Windows 環境の列挙開始
Day 6 AD 侵害。ドメイン制圧
Day 7 14 / 14 フラグ完全制覇。レポート作業へ移行
Day 8〜10 レポート作成・推敲・提出

やってよかったこと

  • BloodHound を早期投入したこと: ACL 経路がないと即確認できたことで、存在しない攻撃パスを追い続ける無駄を省けた。ただし BloodHound CE と旧 BloodHound で結果が異なるケースがあり、BloodHound の表示を鵜呑みにせずサーバ上で PowerView.ps1 を使って直接再確認する習慣が重要だと気づいた
  • 認証情報スプレーを徹底したこと: 早期スプレーが横展開の速度を大幅に上げた
  • タイムボックスを守ったこと: 同一手法の試行回数に上限を設けたことで、行き詰まりから早く抜け出せた
  • コマンドアウトプットをすべてログに残したこと: レポートの Steps to Reproduce 再構成が大幅にスムーズになった
  • フラグ取得後すぐレポートに転記したこと: Day 7 に全フラグ制覇後、残り 3 日間をレポートに完全集中できた
  • キャプチャを取りまくったこと: コマンド出力・スクリーンショット・タイムスタンプを惜しみなく記録した。レポートの Steps to Reproduce 再構成や各 Finding へのスクショ添付が格段に楽になった

やらなくてよかったこと

  • フラグ取得済みホストへの過剰投資: 取得済みホストは「次の横展開素材の入手元」として割り切ることが重要。深掘りへの誘惑を断ち切れたことが時間配分に効いた
  • 偵察を省略して手技に入ろうとする衝動: 列挙に時間を投資するほど後の侵害が速くなる。「まず動かしてみる」より「まず全部把握する」が正解でした
  • 特定の認証情報を深追いすること: 見つからないものを延々と探すより、別の攻撃経路に切り替える判断が重要だと痛感した

OSCP / CJCA との比較

  OSCP CJCA CPTS
試験時間 24 時間 120 時間(5 日間) 10 日間
主要スコープ Standalone + AD 5 マシン + SIEM マルチネットワーク + AD
Blue Team なし SIEM triage なし
レポート あり SysReptor(HTB 公式) SysReptor(HTB 公式)
合格難度の軸 技術 + 時間配分 技術 + 文章 + SIEM 技術 + 戦略的時間管理
フラグ数 スタンドアロン 3台 + AD 3台 10 フラグ 14 フラグ

OSCP が「24 時間でどこまで侵害できるか」を問う試験だとすれば、CPTS は 「10 日間で企業ネットワーク全体を組織的に侵害できるか」 を問う試験です。個々の技術ではなく、全体最適の意思決定力が問われる点が最大の違いです。


参考リンク

This post is licensed under CC BY 4.0 by the author.